ノルウェーの平等、不平等。

こんにちは😃
結婚を機に、2018年あたりからノルウェーに移住したPurenaです🇳🇴

移住する以前から旦那を通して見ていたノルウェーは、差別や偏見がなくどこまでも平等な社会。
実際に引っ越してきてしばらく、また私生活を送る上ではとっても平等性の高い国だと感じました。システムや、一般文化的には平等な社会が浸透しています。
しかし、仕事を始め、社会の一人となって改めて見えることや、外国人友達から聞く話の中には平等とは言えないエピソードもしばしば。

日本やアメリカなど、諸外国では未だに差別に苦しむ方々や、厳しい環境を強いられながら生きる人たちが沢山います。
それに比べると、ノルウェーは夢の国のようで、この記事の内容は贅沢な指摘ではありますが、「どこまでも平等な社会」だと思っていたら、想像とちょっと違ったところなど、実体験等を交え、私が感じるリアルな現状を書いてみたいと思います!

人種

肌の色

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私の旦那の両親(義理の両親)は中国出身です。
彼らの世代でノルウェーに引っ越してきました。こちらで出会って結婚しているので、旦那や、旦那の兄弟の見た目はアジア人ですが、中国に住んだことはなく、ノルウェーで教育を受け、大人になりました。そうなれば当然、言語、文化、考え方はノルウェー人です。

旦那の幼馴染はモロッコ人ですが、彼も旦那と全く同じくここで生まれ育ったので、肌の色がブラウンでも、中身はノルウェー人です。

こういったケースは、ノルウェー、特にオスロでは全く珍しくありません。

みんな4大を卒業。義理の幼馴染(笑)はノルウェーの軍隊にも所属していました。
義理兄は一流企業に就職しているし、現在義理の幼馴染はエンジニアとして働いています。
ノルウェーの社会で育ち、教育を受け、就職する上で肌の色で判断されることは全くありません。(少なくとも見たこと聞いたことがありません。)

観光客のイラスト

私が首からカメラを吊り下げて、「ザ・ガイジン」姿で出歩いても、
ノルウェー語で道を聞かれることがよくあり、初めの頃は戸惑いました😅

受け入れる心

日本では外国人はどんなに勉強しても長く住んでも(日本で生まれ育っても外国人扱いを受ける人もいます)、どこまでも外国人として判断されてしまう傾向が強いように見受けられます。

いろいろな語学の勉強をする人のイラスト(男性)

それに比べて外見では偏見を持たないノルウェー人は、ノルウェー語がペラペラかどうかというところでお互いを社会の一員として認め合うようです。

それじゃあなまりのあるノルウェー語やカタコトの場合はどうでしょうか?

なまりやイントネーションがあってもコミュニケーションがちゃんと出来れば受け入れられます。(義理兄の会社でも外国人の方が沢山働いています。ノルウェー語が上手で、日本人である私からすると、彼が海外出身だとわからないくらいでしたが😅)
状況や業界にもよりますが、
初心レベルA1・A2、中級レベルB1・B2、ネイティブレベルC1・C2と分けられるところで言う、
B2レベルに達すれば、"合格"レベルではないでしょうか(私の主観。)

弁護士、医師、看護師、教科によって教員など、B2以上の言語能力を問われる職種もありますが、実際、外国人だからといってなれないことはありません。

ではペラペラじゃなければいけないのか?

実際はそんなことはなく、「勉強している」と言う事実 / 少しでも努力を費やしているという事実さえあれば認められるし仕事も出来ます(もちろん職種にもよるけど)

窓を開いて顔を出す女の子のイラスト

また、教育に寛容なノルウェーは、勉強を始めやすい環境にあると思います。
家族移民や戦争や紛争で避難の目的で移民してきた人などには無料でノルウェー語学校に通う権利があります。

私は仕事のビザで住んでいるのでその権利はないのですが、赤十字で毎週やっている言語カフェや教会(と言ってももはやNPO法人のようで勧誘などは一切ない)のノルウェー語クラスで無料で勉強することが可能です。雇われている先生もいるし、中にはボランティアで教えにきてくれているスタッフも沢山います。私はここへ来て初めの一年、そのようなところで沢山勉強させてもらったのでとっても感謝していて、永久ビザが取得できて、安定したらいつか恩返ししたいと思っています。

要するに限りなくドアはオープンです!!!

名前

肌の色では差別されないノルウェーですが、
外国人名のせいで履歴書を出しても全然返事が来ないという話を何度か耳にしたことがあります。
欧米諸国では履歴書を私てもなんの連絡もないということは珍しく無いので、実際は名前が結果に影響しているかどうかはわかりません。

実際に私は面接する側の立場にいたことがありますが、この質問に関してはイエスとノーです。
履歴書の写真を見てこの人はどんな人なんだろうっと想像することの延長線で、名前を見て出身国や文化、その人の考え方、働き方を推測するヒントのうちの一つであることは確かです。私が名前を理由に判断するということはありませんでしたが、仕事を見つけるため、改名する人もいるというのも事実です。この分野に関してはどこの業界で職探しをするかも大きく関係してくるかもしれません。

オスロの西と東

全くと言っていいほど差別を感じない、私のノルウェーライフですが、それは私がオスロの東半分エリアの中に住んでいるからです。

オスロの西半分はお金持ち、ノルウェー人(白人?)エリアで東側は外国人ばかりで庶民的な地域です。東側のエリアによっては、ギャングがいたり、ホームレスや麻薬中毒者、ディーラーがゴロゴロしていいます。

お金持ちエリアをA、外国人エリアをB、アーティスト(ヒッピー、ヒップスター)エリアをCと呼ぶとすると、Bの地域は中心街から近い上に、土地が安いので、初めに、少しずつアーティストの溜まり場になります。私がこちらにきて働き出した、フードコートもかつてはBエリアだった場所にあり、そのアーティスティックな(インスタ映えな)フードコートが出来たおかげで西側の人も来るエリアへと変わりました。

BエリアがCエリアになって、いずれはCエリアも土地の価格が上がり、Aエリアになるといった流れで、Bエリアはどんどん街の外へ向けて押し出されているイメージです。

worldpopulationreview.com

この記事によると、夫のような2世としてノルウェーで生まれ育った人も含め、移民はオスロの人口の3割、順に、パキスタンスウェーデンソマリアポーランドイラク、イラン、ベトナム、トルコ、モロッコ、フィリピン、スリランカからが多いそうです。

オスロの西側に住んでいる移民の割合は5%なのに対し、東側の小学校では最大97%が移民です。

手をつないで走る世界の子供たちのイラスト

なるほど、子供の頃から多民族、多文化の中で育っているから、それが普通で、差別の概念もないわけですね。

貧富の差

上記のように、貧富の差が開いたり、エリアが別れたりなど、まだまだ課題はあるようですが、日本人である私の正直な感想は、「それはそうかもしれないけど、貧乏の最低ラインが高い」です。

私たちは東エリアに住んでいるし、旦那も親世代からの移民。義父は清掃員で、私たちは平均と比べると貧乏な方だと思いますが、義理の両親の家は持ち家だし、私たちが住んでいる家も両親のものです。車もあるし、毎年海外旅行へも行けるし、パソコン、スマートフォン、家電製品、洋服など、欲しいものはある程度購入出来ます。

最低の国民年金の支給額は2020年現在で月約15万円です。

国が保証してくれる生活レベルが他国と比較すると高いですよね。

ノルウェー人で、ドラッグ中毒でない限り、必ず国から保証を受けられるので、働いていなかったりなど、どんな状況でも、ホームレスにはなりえないし、食べ物も寝るところもあります。
ドラッグ中毒の場合はサポートを受けられない場合もありますが、そういう人たちも赤十字などの助けでドラッグから足を洗うサポートを受けたり、寝る場所や食事が与えられます。
密入国の人たちも同様、国の支援は受けられないものの、教会や赤十字のサポートを受けることができるようです。

コネ社会

一つノルウェーに来て驚いたことが、この社会ではコネクションをとても重視するということです。履歴書にはreferanseといって過去の職場の上司などの連絡先を書くことが重要です。

履歴書を受け取った面接担当はその連絡先へ連絡し、前の職場で当人がどんな働きをしてきたか、どんな人間なのかなどをその元上司に聞くことが出来るというわけです。

ランダムによくわからない人を採用するより、誰かのお墨付きで採用した方が確実なので、この仕組み自体は悪くないと思いますが、コネ入社など、行き過ぎたコネクションの利用が社会問題にもなっているようです。

逆に言えば、コネクションなしで仕事を見つけるのはかなり難しいと言えます。

外国人カースト(コミュニティー

みんな違ってみんないいと感じれるからかマルチカルチャーの中にいるのが好きな私です。
裏を返すとノルウェーに住んでいてもノルウェー人の友達が少ないのが正直なところ。

仕事やビザ更新の大変さ、文化の違いに驚かされたり、一緒にノルウェー語を勉強したりなど、共感できることが多いせいもあると思います。仕事を通して知り合うことも多いです。

それは悪いことじゃないのですが、問題は、コネ重視のノルウェーで、転職したいと思った時、知り合いに紹介してもらう仕事も外国人コミュニティーの仕事の可能性が多く、そのコミュニティーの中でスパイラルににはまってしまうということ。

これもまた私の期待を悪い意味で裏切ってくれた事実ですが、ノルウェーにも一部、ビザやお金の問題のある、外国人を利用してビジネスをする人も存在します。(これに関しては別で記事で詳しく書こうと思っています。)最低賃金以下でも、自国と比較すると高条件となってしまうわけで、悪い条件を提示されてもYesと言ってしまう外国人労働者も少なくありません。

日本ほど露骨ではないし、カーストを壊すのは簡単だといえど、社会カーストが存在し、一部の外国人は、一番下で、悪条件、悪い環境、低賃金で働いているということも目の当たりにしました。(そういう人でも一定レベルの生活はしていますが)

職業差別

ノルウェーでは日本と比較すると職業カースト的なものが少ないように感じます。
医者だろうと清掃員だろうと、仕事をしていれば、皆平等に社会の一員です。

 

業界によって最低賃金が定められており、例を上げると2020年現在で
https://www.arbeidstilsynet.no/arbeidsforhold/lonn/minstelonn/

清掃業 : 188kr
飲食業 : 168kr

1kr 12円換算で計算するとそれぞれ 2,256円, 2,016円です。 

ごみ収集など、人気のない職種は最低賃金が高く設定されています。

男女の平等


日本は未だに男女の不平等さが根深く残っている国のうちの一つです。

sustainablejapan.jp


私が日本にいたときは、そこで生まれ育ったのでそういう文化になれていて、「これは差別だ」という意識すらありませんでしたが、

  • クレームの電話で相手にしてくれなかったのに、父に掛け直してもらったら対応してもらえたり、
  • 仕事のミスで「可愛いから許してあげるよ〜」って言われたり、
  • 女は結婚したら働いていなくても社会から痛い目でみられなかったり
  • 特に大学時代、たまにいっていたコンパニオンのバイトなんて、パーティーで、贈花の代わりにつったってたりして「お金あるアピールの道具」として扱われ(当時は楽して稼げるからラッキーぐらいに思っていた)たり

など、こんなのアウトだなっと思うシーンが沢山!

日本を出たからこそそれに気がつきました。
ノルウェーは世界でも男女平等な国として有名です。
あまりに平等であり、それが当たり前の社会なので、そんなことにも意識がいきませんでしたが、考えてみると確かに、日本での体験と比較して、男女平等な社会と言えると思います。

私服で働く人のイラスト(白人女性)
ノルウェーでは、若くても、女性でも責任のあるポジションを任されて、主戦力となって働いている印象があります。

一方でもちろん、女性が結婚していても、理由なしに仕事をしていないと、社会的にはちょっと痛い目でみられる傾向にあると思います。 

まとめ

いかがでしたか?

諸外国と比べると贅沢な文句かもしれないけど、小さなことにも声をあげてみんなで社会をよりよくしていくべき!というのが、私がノルウェー社会から習って実践するようになったことのうちの一つです。そうしてこの社会は成長してきたのだと思います。

こう言う問題はなかなか線引きが難しいですが、次の世代はノルウェーに限らずもっと成長した社会になっていれば嬉しいです。

私たちの小さな声がその社会へのハシゴになればいいですね〜✨